2012-04-09(月)
1)俺様ハニー
何時も通りの休日。
変わらない日常。
毎日平凡に暮らして、平凡に生きていくものだと思っていた。
そう、あの時までは・・・・・・。
1出会い、
「東雲ー、これジュース」
友人の清原葵が俺に炭酸ジュースを投げる。上手い具合に俺のお腹部分にヒットし、すぐさまそれを開けると口に含んだ。
「葵、青いな」
「それ毎回寒いからさ、ってか俺がすべったみたいになるから止めろよ。」
平凡だけど楽しい日々を過ごしてきた俺は、別にそれを不満と思った事は一度も無かった。
「もう授業始まるから戻ろうぜ」
「・・・うん」
特等席から動くのは惜しいが授業はサボれないタイプだから、仕方なく立つ。その背中を吹き抜けるように強い風が押し寄せた。
・・・今思えば、これから起きる事を風が物語っていたのかもしれない。
「お昼の放送を始めます。今回の曲は・・・」
好きなバンドの曲が流れ、鼻歌交じりに歌う。購買のパンを手に取り、ポケットから小銭を出す。ふとレジ横のチロルチョコに目が止まり、レジを済ませる。
「屋上にでも行こうかなぁ」
チロルチョコをポケットにしまい、パンの入ったレジ袋を下げて屋上へ向かう。途中で女子の黄色い声が聞こえてくる。多分この歓声は、会長である園堂寺に対してだと思う。
優しくて格好良くてスポーツも万能、成績も常にトップである会長はアンドロイドかと思うほどの出来すぎ人間だと思う。それに家も凄い財閥らしく、女子の人気は驚異的だ。
俺には全くもって関係ない話だし、興味も無い。
「・・・キミのかな?このチョコレート」
後ろを振り向くと、この学校で一番格好良いとも言える位の美貌の持ち主がそこにはいた。「会長」だ。初めて至近距離で見たけれど、予想以上に格好良いそのルックスで中身まで完璧だなんて神様は不公平過ぎる。しかし笑顔は何処か遠く、すぐ側に居るはずなのに壁が感じられる。
「あ、ありがとーございます・・・」
「いえいえ、こちらこそ」
爽やかな笑みは他の者を圧倒する位綺麗だけれど、やはり何処か遠い気がする。
「あ、あの・・・・何でそんな笑い方するんですか?」
口に出したつもりは無かったのにもかかわらず、自分の口からは思っていた言葉がするりと抜け出てしまう。思ったことを気が付いたら言ってしまうのは自分の悪い癖であるが、それに気づきながらも改善する事が出来ないのだ。
「笑い方、ですか・・・」
その笑みが一瞬崩れて、また元の完璧な顔になる。周りを見て、俺はようやく事の重大さに気付いたが、彼の取り巻き達が不思議そうに見ていた。
「どうもすみませんでした!!」
・・・面倒な事に巻き込まれる。そう察して俺はその場から逃げた。
俺は何を言っているんだろう。あんな別世界の人に馬鹿げた事を言ってしまった。もし自分が「なんでそんな笑い方するのか」なんて聞かれたら間抜けな奴にしか見えないだろう。
俺は溜息混じりに屋上へ向かう。俺だけの、特等席へ―――
変わらない日常。
毎日平凡に暮らして、平凡に生きていくものだと思っていた。
そう、あの時までは・・・・・・。
1出会い、
[More・・・]
丁度図書館を抜けた所にある大きな扉を開けると、俺の特等席はそこにある。青空の下、そこに寝転がるとかなり気持ちが良い。溜息混じりに青空を見上げると、悩みなんかも吹っ飛んでしまうくらいに清々しい青空。「東雲ー、これジュース」
友人の清原葵が俺に炭酸ジュースを投げる。上手い具合に俺のお腹部分にヒットし、すぐさまそれを開けると口に含んだ。
「葵、青いな」
「それ毎回寒いからさ、ってか俺がすべったみたいになるから止めろよ。」
平凡だけど楽しい日々を過ごしてきた俺は、別にそれを不満と思った事は一度も無かった。
「もう授業始まるから戻ろうぜ」
「・・・うん」
特等席から動くのは惜しいが授業はサボれないタイプだから、仕方なく立つ。その背中を吹き抜けるように強い風が押し寄せた。
・・・今思えば、これから起きる事を風が物語っていたのかもしれない。
「お昼の放送を始めます。今回の曲は・・・」
好きなバンドの曲が流れ、鼻歌交じりに歌う。購買のパンを手に取り、ポケットから小銭を出す。ふとレジ横のチロルチョコに目が止まり、レジを済ませる。
「屋上にでも行こうかなぁ」
チロルチョコをポケットにしまい、パンの入ったレジ袋を下げて屋上へ向かう。途中で女子の黄色い声が聞こえてくる。多分この歓声は、会長である園堂寺に対してだと思う。
優しくて格好良くてスポーツも万能、成績も常にトップである会長はアンドロイドかと思うほどの出来すぎ人間だと思う。それに家も凄い財閥らしく、女子の人気は驚異的だ。
俺には全くもって関係ない話だし、興味も無い。
「・・・キミのかな?このチョコレート」
後ろを振り向くと、この学校で一番格好良いとも言える位の美貌の持ち主がそこにはいた。「会長」だ。初めて至近距離で見たけれど、予想以上に格好良いそのルックスで中身まで完璧だなんて神様は不公平過ぎる。しかし笑顔は何処か遠く、すぐ側に居るはずなのに壁が感じられる。
「あ、ありがとーございます・・・」
「いえいえ、こちらこそ」
爽やかな笑みは他の者を圧倒する位綺麗だけれど、やはり何処か遠い気がする。
「あ、あの・・・・何でそんな笑い方するんですか?」
口に出したつもりは無かったのにもかかわらず、自分の口からは思っていた言葉がするりと抜け出てしまう。思ったことを気が付いたら言ってしまうのは自分の悪い癖であるが、それに気づきながらも改善する事が出来ないのだ。
「笑い方、ですか・・・」
その笑みが一瞬崩れて、また元の完璧な顔になる。周りを見て、俺はようやく事の重大さに気付いたが、彼の取り巻き達が不思議そうに見ていた。
「どうもすみませんでした!!」
・・・面倒な事に巻き込まれる。そう察して俺はその場から逃げた。
俺は何を言っているんだろう。あんな別世界の人に馬鹿げた事を言ってしまった。もし自分が「なんでそんな笑い方するのか」なんて聞かれたら間抜けな奴にしか見えないだろう。
俺は溜息混じりに屋上へ向かう。俺だけの、特等席へ―――
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