2012-04-01(日)
7君が愛しくてたまらない
[More・・・]
「・・・。」「・・・どいてくれないか?」
堂園仁が〝あの日〟から現れたのは一週間後だった。元々俺の持っているクラスは1年だから、3年であるコイツの授業を担当した事は無かった。だが、コイツがモテる事だけはよく知っていた。
現に前不意打ちされた時も俺は生徒相手にドキドキしていたのだから、それで立証されたというわけだ。
「俺さ・・・。何で先生が好きになったか、分かるか?」
「知らないが、興味も無い。」
「・・・。」
「俺は人と馴れ合うのも嫌いだし、第一知らない相手に好きとか言われる事自体気持ち悪いと思う人間だった。だけど、先生が教えてくれたんだ。」
「俺、お前と会った事あったか?」
「いや、先生は集会でよく前で喋るだろ?その時に『高校は仲間を作る所では無い。仲間との絆の作り方、即ち社会性を学ぶ所だ』っていうのを聞いて、気が楽になったんだ。
女子から騒がれたりするのも、人と馴れ合うのも悪いモンじゃないって気付けたんだよな。
・・・でも、それを気付いたと同時に、先生への思いが募って・・・。」
「それで、こうなった訳か。」
「・・・ああ、」
馬鹿か、俺の言葉に動かされたからって普通俺を好きになるか?
・・・まてまて、相手は学園一のモテ男だぞ?何考えているか知った事では無い。
「ずっと見ていたから、知っているんだ。優が好きなんだろ?」
「・・・」
「それでも、好きなんだ・・・」
顔が赤い仁を見て。
もう、何も言えなかった。
俺は、優への気持ちを消してと言われても無理だ。だから、俺を嫌いになれ、と言われても無理なのだろう。
「俺は優が好きなのかもしれない。だから、お前の気持ちには答えられない。
そう言うと、仁は不敵な笑みで綺麗に笑った。
「初めからそんなの知ってる。だけど、諦めない。」
何処が優と似ているのか。それは多分。笑った時の感じが見ているのだと、その時に凄く感じた。
「諦めようと努力するからさ、昼ご飯毎日食べてよ?」
「諦めるか?」
「・・・無理だとしても、頑張るから。」
俺はその時、頷いてしまった。
この時、まさかそんな風になるなんて、思いもしていなかったんだ。
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